2025年4月13日 · 文:Kiyo Darner · 約3分
うなぎの蒲焼き:関東と関西で、開き方が違う理由
うなぎは、日本料理のなかでも珍しく、仕上がった一枚を見ればどこで修業したかが分かってしまう料理です。
蒲焼きとは
うなぎを開いて骨を抜き、串を打って焼き、タレにくぐらせてまた焼く。これを何度か繰り返します。一回ごとに水分が飛び、糖が焦げ、薄い膜がもう一枚重なる。良い蒲焼きが、タレをかけたというより漆を塗ったように見えるのはそのためです。
タレは醤油、みりん、砂糖、酒。長く続く店では、このタレが一度も終わりません。古いタレに新しいタレを足し、毎日うなぎの脂が落ちていく。いま使われているタレは、何十年も前のタレの続きです。その連続そのものが味になっています。
二つの流儀
東京はうなぎを背から開きます。大阪は腹から開きます。
よく言われる理由は、江戸が武士の町だったからというものです。腹を切るのは切腹を連想させて縁起が悪い。だから背を開く。大阪は商人の町でその心配がなく、腹開きのほうが単純に作業しやすい。
違いが大きく出るのはその次です。関東は白焼きのあと、タレをつける前に一度蒸します。関西は蒸しません。蒸すと余分な脂が落ち、箸で切れるほどやわらかくなる。蒸さなければ皮は締まったままで、身は密度が高く、火の当たった味がまっすぐ残ります。
どちらが正しいという話ではありません。同じ名前で呼ばれている、別の料理です。
土用の丑の日
うなぎは夏のいちばん暑い時期、土用の丑の日に、精をつけるために食べられます。
よく語られるのは、これが宣伝から始まったという話です。夏はうなぎが売れない。うなぎがいちばん脂を蓄えて旨いのは冬だからです。困った鰻屋が平賀源内に相談したところ、「本日、丑の日」と貼り紙を出せと言われた。それが当たり、他の店も真似をして、それから250年ほど経ったいまも国じゅうが七月にうなぎを食べています。
これが史実なのか、史実についてのよくできた話なのかはさておき、習慣のほうは本物です。そして、人類が打った広告のなかでもかなり成功した部類に入ります。
うちでの出し方
うな丼は、焼いたうなぎをごはんにのせ、日本の漬物と海苔を添えています。山椒は伝統的な相棒で、飾りではありません。柑橘のような香りとしびれがあり、普通の胡椒にはできないやり方で脂を切ってくれます。
もう少し軽く食べたい方には、うなぎの手巻きもあります。
どちらにしても、合わせるものは辛口がいい。麦焼酎か、すっきりした純米。甘い酒とタレの照りは、互いに邪魔をします。
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