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焼酎

2025年3月27日 · 文:Kiyo Darner · 約3分

奄美黒糖焼酎:黒麹が黒糖にもたらすもの

うちには黒糖焼酎が何種類かあるので、どれも同じ島々の黒糖から造られているのに何が違うのか、と聞かれます。もっともな質問で、答えはたいてい麹にあります。

矛盾に見える決まり

黒糖焼酎を造れるのは奄美群島だけで、しかも米麹を使うことが条件です。1959年の国税庁の通達によるもので、その成り立ちについては南海の記事に書きました。決まりそのものより、決まりができた経緯のほうが面白い話です。

そうすると、黒糖焼酎のラベルに「黒麹」と書いてあるのを見て、どちらなのかと思う方が出てきます。

答えは、両方です。この二つの言葉は別のことを指しているからです。米麹とは、麹菌をどの穀物の上で育てたかという話。黒麹とは、どの麹菌かという話。黒麹を米の上で育てれば、それは米麹であり、条件をきちんと満たしています。この説明がほとんどされないので、ラベルが矛盾しているように読めてしまう。実際には、種類の違う二つの情報が並んでいるだけです。

黒麹が何をするのか

黒麹は沖縄から北上してきました。亜熱帯の暑さのなかで泡盛を造るために育ってきた菌です。クエン酸を多く生みます。この酸はもともと、何もかもが腐りやすい気候で醪を守るための実際的な備えでしたが、同時にグラスの中にも残ります。

結果として、同じ原料からでは出ないコクと、切れのある鋭さが生まれます。黒糖焼酎ではこれが普段以上に効きます。黒糖はそれ自体では丸くやわらかく、ともすると平板になりやすい原料だからです。酸が背骨を入れてくれる。

黒麹、白麹、黄麹の違いについては、焼酎のラベルの読み方にまとめてあります。

糖からできているのに甘くない

いちばん驚かれるのは、甘くないことです。

黒糖は醪に入り、酵母がそれを食べてしまいます。蒸留を越えて残るのは香りであって糖ではありません。だから糖蜜、さとうきび、少し焼けた穀物のような香りが立ち上がったあとに、辛口の後味が来る。ラム系のリキュールに近いものを想像していると、実際には澄んだ辛口の蒸留酒が出てきます。

香りが約束するものと、口に入れてから起きることのあいだにあるこの落差が、この焼酎を人に勧めて面白い理由のほとんどです。

飲み方

ロックが標準で、少し加水されることで果実の風味が開きます。水割りにすると、痩せることなくやさしくなる。

お湯割りにすると別の酒になり、冬にはそちらのほうが良い。口をつける前に香りがグラスから立ち上がってきます。先にお湯を注いでから焼酎を入れると、混ぜなくても自然に混ざります。

焼いた肉にも揚げものにも合いますし、これだけ辛口の酒としては珍しく、甘いものの隣にも置けます。