2025年1月15日 · 文:Kiyo Darner · 約3分
エチゴビール:法律が変わったから存在している醸造所
日本のクラフトビールには開始日があります。しかも、じわじわ始まったのではありません。法律が変わった日です。
それを可能にした数字
1994年より前、日本でビールの製造免許を持つには、年間200万リットル以上を造る必要がありました。これは小さな醸造所にとって厳しい規則、という話ではありません。小さな醸造所を違法にする規則です。
1994年4月の酒税法改正で、その下限が6万リットルになりました。一晩で97パーセント消えたわけです。日本のクラフトビールと呼ばれているものは、すべてこの数字が動いた先にあります。
新潟のエチゴは即座に動きました。もともと酒蔵で、1994年7月に試験製造免許を取り、12月には製造免許を得て、1995年2月にはビールを売っていました。
「日本初の地ビール」と呼ばれます。正直に書くと、そこは少しややこしい。免許の交付はオホーツクビールのほうが先で、開業はエチゴが先でした。どちらにも根拠があり、どちらもそう呼ばれています。争いがないのは、扉が開いたその瞬間にエチゴがそこにいたということです。
新潟という土地も理にかなっています。日本有数の酒どころである理由がそのまま、ビールに向いている理由でもあります。やわらかくきれいな水と、真面目な米です。
うちに置いているもの
五種類。エチゴをこれだけ揃えている店は、日本でもそう多くないはずです。
コシヒカリラガーは、新潟のコシヒカリで造られています。うちのメニューには「世界一うまい、いちばん退屈なビール」と自分で書きました。撤回する気はありません。バドワイザーがうまかったらこうなる、という味です。面白くあろうとしていないところが良くて、自分がいちばんよく手に取るのもこれです。きれいで、米の甘みがかすかにあって、揚げ物の横で消えていきます。
フライングIPAはアメリカンスタイルのIPA。柑橘と松、苦いけれど痛くない。辛いものやタレの濃いものに強いです。
レッドエールはミディアムボディで、カラメルの麦芽と柑橘のホップ。2018年のニューヨーク・インターナショナル・ビア・コンペティションで金賞を取っています。それが理由で置いているわけではありませんが、造りの確かさの要約にはなっています。
ヴァイツェンはドイツの小麦のスタイル。うっすら濁って、酵母由来のバナナとクローブ。やわらかく、飲みやすく、重くないのに飲みごたえが欲しいときはこれです。
スタウトは見落とされがちです。日本の醸造所はスタウトを造らない、と決めてかかっている人が多いので。ローストした麦芽の香り、ホップの香り、苦みと甘みの釣り合い。
うちでの飲み方
食事をするなら、まずコシヒカリから。そのために出来ている一杯で、唐揚げやポテトに米のラガーを合わせるのに、弁護はいりません。
料理が重くなったらレッドエールかスタウトへ、辛くなったらフライングIPAへ。
日本のビールは寿司と一緒に飲む冷えた大手のラガーしか知らない、という方には、ヴァイツェンとスタウトの二つが、知らなかったことを教えてくれると思います。
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