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ビール

2025年5月13日 · 文:Kiyo Darner · 約3分

COEDO 狭山茶セゾン:お茶に合うのがセゾンである理由

緑茶で醸すと聞くと簡単に良いものができそうですが、たいていはできません。お茶は渋くて苦く、ビールはたいてい少し甘い。雑に足し合わせると、仕込みで何か失敗したような味になります。COEDOは、これが本当に成立する唯一のスタイルを選びました。

狭山茶

日本には並べて語られる三つの茶どころがあり、古い言い回しがあります。色は静岡、香りは宇治、味は狭山。

狭山は埼玉にあり、主要な産地のなかではいちばん北です。話はそれで尽きています。冬が寒いので樹の生長が遅く、葉は厚くなり、暖かい産地の葉より多くの糖を蓄える。摘む回数は少なく、そのぶん葉が濃い。

この地方には独自の仕上げもあります。狭山火入れと呼ばれる強い火入れで、繊細さより、香ばしく厚みのある方向へお茶を押し出します。狭山茶は上品なほうのお茶ではありません。厚みのあるほうです。

このビールに使われているのは、手摘みのやぶきた。日本の茶樹の大半を占める品種です。

なぜセゾンなのか

セゾンはベルギーのファームハウスエールで、もともとは農作業をする人が夏のあいだ飲むために醸されていました。特徴は二つ。

まず、とても辛口です。酵母がふつうより深くまで発酵を進めるので、残る糖が少なく、お茶と争う相手がいません。

そして酵母がフェノールを出します。セゾンの酵母は発酵の副産物として、胡椒のような、スパイシーで、わずかにクローブに寄った成分を生みます。あのスパイス感は加えたものではなく酵母のもので、そしてたまたま、緑茶自身の青く鋭い音域と同じところに乗ります。

つまりお茶は、甘いビールの上に重ねられているのではありません。もともと同じ方向へ向かっていた、辛口で胡椒のようなビールに加えられている。だからお茶由来の渋みが欠点ではなく構造として働き、ホップの柑橘感が両者を結びます。

COEDO自身の説明は「スパイシーさ、緑茶の風味、柑橘のようなホップの香りの複雑なバランス」。まさにその三者の配置を、正確に言い当てています。

COEDOのこと

COEDOは埼玉県川越市にあります。町の通称である小江戸は、いまも残る商家の町並みから来ています。

彼らの評価は、地域の農産物をひとつ選んで、思いつきではなくきちんとビールに組み立ててきたことで築かれました。うちにも何種類か置いています。バナナとクローブの香る無濾過の白ビール「白」、六種の麦芽で組んだ銅色のラガー「伽羅」、埼玉の焼き金時さつまいもを使ったアンバーエール「紅赤」、ホップを入れる時機を軸にしたセッションIPA「毬花」。

さつまいものものが、彼らのやっていることをいちばんはっきり示しています。企画倒れになりそうなところで、なっていません。

合わせるもの

迷わず揚げもの。とりわけ唐揚げです。辛口であることと渋みの両方が脂を切ってくれます。どうせ搾るであろう柑橘の役割を、ビールのほうが引き受けている形です。

樽であるあいだの提供です。限定醸造ですから、たいていそう長くはありません。