2025年3月2日 · 文:Kiyo Darner · 約3分
木内は日本酒もビールも焼酎もウイスキーも梅酒も造ります。ぜんぶ同じ蔵です。
うちがいちばん多くのカテゴリーにわたって置いている造り手がひとつあります。そして頼んだ人のほとんどは、一晩に二回この蔵を注文したことに気づいていません。
茨城の木内酒造、創業1823年です。
二百年でできなかったことを、フクロウがやりました
木内は最初の百七十年、菊盛という名前で日本酒を造ってきました。国内でいまも知られているのはそちらです。
そして1996年にビールを始めます。常陸野ネストのラベルのフクロウが、十年ほどで、日本酒が二百年かけて届かなかったところまで海外に届きました。海外で木内を知っている人の多くは、フクロウしか知りません。ビールの前は何をしていた蔵かと聞くと、たいてい答えが返ってきません。
この順番は覚えておく価値があります。そのあとに出てきたものは全部、ビール会社が多角化した結果ではなく、酒蔵が酒蔵らしくふるまった結果だからです。
造るものが、自分たちの別の製品からできています
広く手を出しているというより、ここが特異なところです。
木内之(の)雫は、常陸野ホワイトエールを蒸留したものです。米焼酎は大吟醸の酒粕から造って十年寝かせたもの。「幹人」は、蒸留した常陸野ネストに自社の米焼酎を合わせ、ジュニパー、ゆずの皮、福来みかん、桜の葉を漬けたもので、呼び方以外はジンです。
どこかから中性スピリッツを買ってきて香りをつけているのではありません。それぞれが、前の製品を出発点にしています。同じ住所で日本酒と、ビールと、蒸留の免許を同時に持っているからできることです。
ウイスキーについて
ウイスキーが日の丸で、額田と八郷という二つの蒸溜所で造られています。八郷は筑波山の麓です。
うちには1st Edition、ポートカスク・フィニッシュ、桜カスクを置いていて、三本の詳細は別に書いてあるので繰り返しません。まず1st Editionから。あとの二本は変奏で、主題を聞いていない変奏には意味がありません。
自社のウイスキー樽で仕上げた梅酒もあります。輪の閉じ方としてはこれ以上ないくらいきれいです。自社の酒に漬けた梅が、自社のウイスキーが出ていった樽で休む。
うちでの飲み方
一つのカテゴリーの中ではなく、カテゴリーをまたいで飲んでみてください。
常陸野ネストから始めて、途中に米焼酎か木内之雫、最後に日の丸。同じ水、同じ蔵、同じ人たち、まったく違う四つの製品。そして、そこに線が通っていると言われれば、実際に味で分かります。
うちのリストでいちばん面白くて、誰も意識して頼んでいないのがこれです。
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